本年度は、光渦発生ならびにサイクル域光パルスに関する以下の成果を得た。 1.チタニウムナファイアレーザー発振器からの〜50fsの光パルスを、2次元空間位相変調器により作製したホログラムに入射、回折させることにより、〜50fsの光渦パルスを発生させた。この発生した光渦パルスの空間分解スペクトルを測定し、空間チャープを評価した。その結果、〜50fs程度の光パルスでは、空間チャープが無視できるほど小さいことを明らかにした。 2.〜50fsのエルミートガウシアンビームパルスを参照光とし、これを被測定対象である〜50 fs光渦(ラゲールガウシアン)ビーム内で集光・走査することにより、空間分解された相互相関周波数分解ゲート信号を測定し、光渦パルスの時空間特性を定量的に評価した。この結果は光渦パルスを用いた分光測定などの応用の際、重要となる。 3.光渦に非対称欠陥を導入することにより、トポロジカル位相の一種であるグイ位相の、集光にともなうシフトを直接観測する手法を開発した。この手法は、従来の干渉による手法とは異なり、簡便に光渦の本質的物理量であるグイ位相を求めることができる。 4.断面内に、2つの光渦が存在するようなビームを発生させ、その空間発展を観測した。ビーム焦点付近で通常の渦運動と異なる新たな振る舞いを発見した。現在、そのメカニズムの解明を進めている。
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