研究概要 |
1.MOVPEによるGaN/AlN単原子層急峻ヘテロ界面の形成 MOVPEでは,成長が1100度以上の高温で行われること,原料ガスの対流が生じること,ガス切り替え時にそれまでの原料ガスが残留すること,を主因として界面のボケが生じ,サブバンド間遷移波長の短波長化を阻害する.中でも高温成長の問題が大きい.本研究では,III族原料のパルスインジェクションという新たな技術を開発し,高品質なAlNをMOVPEとしては画期的な800度で成長することに成功した.現在同じパルスインジェクションでGaNを成長することに取り組んでいる.この技術を利用して,次年度はMOVPEで単原子層急峻ヘテロ界面の形成が可能になると期待される. 2.窒化物半導体多層構造のハイメサ導波路加工 窒化物半導体は,As系やP系の化合物半導体に比べ極めて固く,導波路などのエッチング加工が難しい.本研究では,塩素系誘導結合プラズマ反応性イオンエッチングを利用して,GaN,AlNからなる多層構造を垂直性高くエッチングする技術を開発した.作製したハイメサ導波路において導波特性を詳細に測定評価し,結晶欠陥に起因する導波損失が期待通り低減されていることを確認した. 3.相互吸収変調型超高速全光スイッチの試作 今年度はMOVPEによる1.55μm帯サブバンド間遷移がまだ得られていないので,分子線エピタキシー(MBE)とMOVPEのハイブリッド成長により同波長帯のサブバンド間遷移吸収を有する量子井戸構造を形成し,(2)を適用して導波路加工した.スーパーコンティニューム光を利用して吸収特性を評価し,実際に1.55μm帯でのサブバンド吸収の実現されていることが確認された.同導波路における相互吸収変調全光スイッチ動作を測定評価したところ,過去最少の制御光パワーで全光スイッチングの得られていることがわかった.
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