研究課題
本研究では、真空紫外領域で発光するデバイスを開発し、これを用いたテーブルトップ画像計測システムを実現することにある。今年度は、真空紫外光源開発の第一段階として、理論計算によるデバイスのダブルヘテロ構造の設計を行った。デバイスの材料としては、毒性がなく、しかも化学的に安定な複合フッ化物を候補にあげていたが、今回は数多くあるフッ化物の中でも、3元のペロブスカイト型複合フッ化物をターゲットとした。計算を行う上で使用した複合フッ化のバンド構造やバンドギャップ、格子定数などのパラメータは局所密度近似に基づくab initio計算から求めた値を用いた。最終的に発光材料として選択した混晶複合フッ化物は、Li_<(1-x)>K_xBa_<(1-y)>Mg_yF_3であり、この材料の組成比の関数として記述されるバンドギャップ及び格子定数をLiBaF_3、LiMgF_3、KBaF_3、KMgF_3の4種類の複合フッ化物のバンド構造、バンドギャップ、格子定数から求めた。この材料をベースとしたダブルヘテロ構造発光素子を設計するには、発光素子として効率の高い直接遷移型(Γ領域)であり、さらに基板と格子整合する組成が必要である。この条件を満たす組成はLiBaF_3を基板に用いる場合には、Li_<0.875>K_<0.125>Ba_<0.876>Mg_<0.124>F_3であり、KMgF_3の場合には、Li_<0.870>K_<0.130>Ba_<0.847>Mg_<0.153>F_3となり、n-LiBaF_3/Li_<0.875>K_<0.125>Ba_<0.876>Mg_<0.124>F_3/p-LiBaF_3もしくはn-KMgF_3/Li_<0.870>K_<0.130>Ba_<0.847>Mg_<0.153>F_3/p-KMgF_3の構造を持つ発光素子を設計することが出来た。これら2つの発光素子の動作波長はともに198nmであると予測される。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
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