研究概要 |
本研究の目的は,圧電体のランガサイト振動子の共振周波数を利用して,その振動子に接触する物質の弾性定数を測定し,局所弾性定数を計測する手法を確立することであり,これにより,疲労損傷やクリープ損傷にともなう局所弾性定数の変化を検出することで,構造物の非破壊検査を行うことである. 本年度においては,純銅のクリープ損傷にともなう局所弾性定数の変化をモニタリングした.クリープ損傷を受けた純銅内には,粒界にボイドが発生し,局所弾性定数が大きく低下することが予測される.ランガサイト振動子の先端にダイヤモンドチップを取り付け,クリープ試験後の純銅試料の表面をスキャンして弾性率マッピングを行ったところ,クリープ試験時間が進行するにしたがって,粒界において弾性定数が著しく低下する箇所が観測された.光学顕微鏡においてはボイドや欠陥が観測できなかった箇所においても,顕著な弾性定数の低下がみられ,本手法の非破壊検査としての高いポテンシャルを示唆する成果が得られた.
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