研究概要 |
本研究の目的は,コウモリなどの生物が行っているエコーロケーション(反響定位)の優れた点を模倣した超音波位置センサの信号処理部分に光情報処理を導入することである。特に,周波数変調信号を用いて位置精度を上げる場合の相関演算処理を光情報処理により行うことを目標としている。研究初年度である平成17年度には以下の結果を得た。 (1)超音波送受信システムの設計・製作:周波数40kHzの空中超音波送受信子3個を,1個を送信用,2個を受信用(右チャンネル,左チャンネル)として用いる超音波エコー検出システムを設計,製作した。 (2)通常の計算機による信号処理:上記エコー検出システムの左右の受信信号に開口合成処理を施してターゲットの位置を推定し,画像として表示するプログラムをパーソナルコンピュータ上で製作した。また,超音波送信信号を周波数変調信号とし,送信信号と受信信号に相互相関処理を施して位置精度を向上させるプログラムもパーソナルコンピュータ上で製作した。対象物が1個であれば,40kHzにおける超音波の波長約8mmの数倍程度の横方向位置分解能でターゲットを検出することができた。 (3)光情報処理部分の設計:上記(2)においてパーソナルコンピュータで行っている相関演算部分と同等の動作を行う光情報処理系の概要を決定した。構成はi)超音波送信信号および受信信号を空間画像に変換,光に対し位相変調を行う部分,ii)レンズを用いたjoint transform correlatorにより相関信号を得る部分,iii)相関信号出力を検出する部分からなる。i)を構成するための空間光変調器を購入し,画像信号の入力までを行った。ii),iii)を含めた全体構成までには至っていない。
|