研究概要 |
本研究の目的は,コウモリなどの生物が行っているエコーロケーション(反響定位)の優れた点を模倣した超音波位置センサの信号処理部分に光情報処理を導入することである。特に,周波数変調信号を用いて位置精度を上げる場合の相関演算処理を光情報処理により行うことを目標としている。平成18年度には以下の結果を得た。 (1)光情報処理光学系の構築 以下の光学系を設計・構築し,動作を確認した。 (i)フーリエ変換部:レーザ光源(波長532nm),空間光変調器(832×624ピクセル),レンズ,偏光素子等を組み合わせ,画像情報をフーリエ変換する光学系。(ii)画像検出部:CCD撮像素子により光強度分布をパソコンに取り込む部分。 (2)超音波送受信素子の性能評価 空中で超音波の送受信を行える数10kHz帯の超音波送受信素子を数種類入手し,その性能(エコーレベルと周波数帯域幅の測定)を行った。いずれの素子も周波数帯域幅が狭く(最大で約7kHz),本研究の目的とする周波数変調と相関演算による大幅な分解能の改善を目指すには,さらに広帯域の素子を入手または製作する必要があることがわかった。 (3)制御プログラムの作成 超音波エコー信号をパソコンに取り込むプログラム,空間光変調器にパソコンから画像情報を入力するプログラムを作成した。 現時点では実験系は未完成である。今後は,光学的フーリエ変換像の強度を実時間で書き込む素子および広帯域超音波送受信素子を導入し,実験系を完成する予定である。
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