研究概要 |
本研究は,知的・電子材料システムの設計・開発及び信頼性・耐久性評価に資することを目的に,先端超磁歪材料・薄膜システムの電磁破壊力学特性を,マイクロ・ナノ構造及び磁区等との相互作用を考慮して解明するものである.本年度は,昨年度の理論的・実験的検討結果を踏まえ,メゾ構造に関する解析モデルの妥当性を詳細に検討し,問題点をまとめ,新たな数値シミュレーション・実験を実施した.得られた成果を要約すると以下の通りである. 1.(1)円筒形状及び直方体形状の超磁歪材料Terfenol-D(Tb_<0.3>Dy_<0.7>Fe_<1.9>)を対象に,磁場を印加して伸びひずみを計測し,磁歪特性を評価した.また,有限要素解析(圧磁係数に及ぼす磁場の影響考慮)により,実験結果に理論的検討を加え,磁区回転に起因する非線形磁気力学特性解明に成功した. (2)Terfenol-D層とSUS316・Cu基板からなる超磁歪積層アクチュエータを作製し,磁場による伸びひずみを計測して,磁歪特性を解明した.また,非線形有限要素解析を行い,基板の先端たわみ及び内部応力に及ぼす磁場の影響を明らかにした. (3)超磁歪積層アクチュエータにおける層間剥離の発生・進展過程解明を目指して検討を進めており,一部興味ある結果を得ている. 2.超磁歪/圧電積層アクチュエータの電磁力学特性に及ぼす内部微視構造変化(磁壁移動・分域壁移動等)の影響解明を目指し,傾斜機能圧電アクチュエータを対象に,曲げ試験・非線形有限要素解析を行い,変形に及ぼす電場及び分域壁移動等の影響を解明した.また,超磁歪/圧電積層システムにおける電磁変換素子特性の磁区・分域依存性についても検討中である. 3.超磁歪粒子複合材料の感知・応答特性解明を目指し,基礎的研究を進めている.
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