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2006 年度 実績報告書

多層カーボン・ナノチューブを利用するナノスケール回転-往復運動変換機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17656044
研究機関同志社大学

研究代表者

北川 浩  同志社大学, 工学部, 教授 (30029095)

研究分担者 尾方 成信  大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20273584)
キーワード計算物理 / ナノ材料 / ナノチューブ・フラーレン / 分子機械 / マイクロ・ナノディバイス / 自発的回転運動 / Brownモーター
研究概要

分子動力学法により,二層カーボン・ナノチューブ(DWCNT)により構成される,シャフトースリーブモデルの動特性解析を行って,シャフトが回転運動を生じる基本的メカニズムについて検討を加え,つぎのような成果を得た.モデルの基本構造は,閉じた両端部の頂点に水素原子を配して,回転を拘束することなくスラスト力を支持できる内層CNT(シャフト)と,一端面の炭素原子の変位もしくは速度を拘束することができる外層CNT(スリーブ)から成り,スリーブの端面もしくは全面の原子は,設定した温度の熱浴と接触させることができる.
A)回転運動に至る過程は,(1)シャフトの偏心した位置への(動的な)移動,(2)微小回転振動の発生,(3)スリーブ-シャフト系の共振に伴う振動の拡大と回転運動の発生の3段階に分けられる.
B)(1)は,シャフト-スリーブ間のポテンシャル場が,シャフトが中心にある場合よりも偏心位置にある方が低いことにより生じる.この際,構造的な非軸対称性に起因してシャフトにねじれ変形を生じる.これが回転運動を引き起こす原因となる.
C)(2)は,緩やかに分布するスリーブ内のポテンシャル場中で,(1)が動的な過程として生じる結果発生する.振動は,スリーブが熱浴と接している(温度に相当するランダムな振動を受けている)場合に振幅が拡大する.これは,Brownラチェット機構によるものと解釈できる.
D)スリーブの面内曲げ剛性は低いために,シャフトの振動に伴うポテンシャル場の変動の影響を受けて,動的たわみ変形が発生する.このスリーブとシャフト間の動的な連成変形は共振し,回転振動の振幅は拡大して,ついには一方向の回転運動に至る.
E)この回転運動が持続するかどうかは,シャフトとスリーブの構造(両者のカイラリテイ)と熱浴の温度に依存する.
以上の結果から,DWCBTにより形成されるシャフト-スリーブを,ナノスケールの回転モーター,あるいは冷却器としての利用する可能性が開かれたと考えられる.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Energetics of plastic bending of carbon nanotubes2006

    • 著者名/発表者名
      H.Mori, S.Ogata, J.Li, S.Akita, Y.Nakayama
    • 雑誌名

      Physical Reviews B 74

      ページ: 165418-1-5

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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