研究概要 |
フラーレンC60に水酸基が32〜34個修飾した、水溶性の高いポリ水酸化フラーレンを用いて研磨スラリーを作製し、銅膜をシリコンウエハに電着メッキした試料のCu-CMP加工実験を行った結果、以下のような知見が得られた。 (1)研磨スラリーの作製 超純水にフラーレンを溶解し、界面活性剤と超音波で一様分散させて0.1wt%ポリ水酸化フラーレン水溶液を作製した。次にその水溶液をし200nmのフイルターを通したところ、溶液の色に変色が無く、この水溶液中のフラーレン粒子は200nm以下であると推定される。化学的作用を進行させるために加工液として次のような添加剤4種類を加えた。過酸化水素水(1wt%),クエン酸アンモニウム(0.5wt%)、リン酸アンモニウム(0.5wt%)、BTA(0.12wt%)。このときも溶液の色に変化が見られず、フラーレン粒子の凝集が起こらず、ポリ水酸化フラーレンの分散安定性が確認された。 (2)研磨加工実験 製作した研磨スラリーを用いCu-CMP加工実験を行い、研磨時間と表面粗さの関係から、研磨性能を評価した。その結果、5μm四方における研磨前の粗さはRMSで10nm以上あり、また断面曲線から40nm程度の大きなうねりも見られた。しかし、加工時間の増加にともない、粗さは指数関数的に改善され、約6分程度で2nmRMS以下(断面曲線では0.339nmRMS)の良好な仕上面になっている。また前加工面の大きなうねりも除去されており、平坦面が得られている。なお、研磨加工条件は、圧力:0.25MPa、回転数:127rpmである。数回の研磨実験によって得られたチャンピオンデータのAFM観察像から、(a)は20μm四方で1.64nmRMS,(b)は5μm四方の狭い範囲ではあるが0.722nmと1nm以下の超平滑面を得ることができた。
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