研究概要 |
本研究では配向性CNT膜同士の摩擦において、上下方向に電場を印加し、CNTの傾倒を防ぎ、CNT同士がラチェッティング作用でかみ合うことにより高摩擦の発現を実現する事を試みる。そのため、配向性CNT膜同士の摩擦摩耗に及ぼす電場の影響を明らかにし,配向性CNT膜同士の電場印加による高摩擦・耐摩耗性の発現の可能性を明らかにする。 (1)配向性ナノチューブ膜の創製と基本的摩擦摩耗特性の評価 配向性カーボンナノチューブ膜として、JFCCの楠らの考案したSiCの高温分解法の基本原理を応用し、創製した。また,得られたCNT配向膜の直径8mmの窒化ケイ素球との摩擦実験を行い,剥離荷重を明らかにした.更に剥離した箇所をAFMにより詳細に観察し,根本から折れる破壊形態であることを示した. (2)電場印加時の配向性ナノチューブ膜の垂直方向剛性の測定 研究代表者の現有設備である微小押し込み摩擦装置において接触点に電場を印加できるように装置の改良を施す。具体的には、現有設備の庄子と平面試験片ホルダーの周囲の絶縁を十分にとる。交直流アンプを購入し、平面試験片上の配向性ナノカーボン膜に、最大10kVまでの直流電場あるいは交流電場を印加し、個々のカーボンナノチューブの剛性を変化させる。圧子の押し込み及び水平移動時の反力を測定し、配向性ナノチューブの膜の垂直及び水平方向の剛性に及ぼす電場の影響を明らかにする.その結果,電場により剛性が変化することが明らかになった.
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