研究分担者 |
宮崎 浩 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教授 (00263228)
坪田 健一 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (10344045)
山口 隆美 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (30101843)
田村 弦 東北大学, 医学部付属病院, 講師 (70188431)
中村 匡徳 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助手 (20448046)
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研究概要 |
計算力学解析と呼吸音計測を組み合わせて肺気道内で発生する異常気流音の音源を推定するために,本年度は,(1)医用画像に基づく気道モデルの構築,(2)気流解析のための計算手法の開発,(3)異常呼吸音の計測と分析,(4)複数のマイクロフォンを用いた音源推定の試み,を行った.(1)では,64チャンネルのMDCT装置で得られた肺のマルチスライス画像から,気道の連結性を考慮して気道部分を抽出し,それを細線化して気道のトポロジーを認識することにより,気道の部位や世代情報が付加された気道モデルを自動的に生成できるようにした.(2)では,得られた気道モデルを用いて気流計算が行なえるように,適合格子細分化法を用いた流体解析手法を開発した.これにより,気管から分岐を繰り返して直径や長さが減少していく気道系内の気流解析が可能となった.(3)では,小児喘息患者の呼吸音をフーリエ解析およびウェーブレット解析し,異常呼吸音の特徴を定量的に評価するとともに,口腔部で同時に計測した気流データを合わせた分析を行った.その結果,小児喘息患者の場合,異常呼吸音の周波数は数百Hzであり,数キロヘルツ以上のサンプリング周波数で呼吸音を計測すれば,位相差を利用して音源の推定が可能であることがわかった.さらに,異常呼吸音は,気流速度の増加に対して非線形的に増大し,さらに,気流の加速期や減速期に依存して変化することがわかり,異常呼吸音の発生源の推定につながる情報を得ることができた.(4)では,コンデンサマイクと波形測定器および計測制御用のコンピュータを組み合わせて,胸壁上の種々の場所での呼吸音を同時に計測できるシステムを構築し,空気を介した計測では肺内での音源推定に利用できる精度で計測が可能であることを確認した.しかし,実際の胸郭内部の呼吸音源を推定するためには,計算力学解析が必要であることが示唆された.
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