研究概要 |
マイクロバブルやナノバブルは,水質汚濁に対する環境浄化,船舶における摩擦抵抗の低減,生体内での有利利用など,積極的に採用される傾向にある.これらへの応用を視野に入れたマイクロバブル生成方法は比較的多く検討されているが,大量の水処理等で必要となる同時多量で大規模なマイクロバブル生成に関しては有効な実用案はない.そこで本研究では,低コストでかつ高効率大容量マイクロバブル発生装置として多翼ターボポンプの利用を提案し,均質でかつ大容量のマイクロバブル生成が可能なターボポンプの設計指針の確立を目的とする. 本年度はまず,動翼列内部流れ,特に局所のせん断速度場や逆圧力勾配が気泡の微細化に重要であるとの観点から,動翼列回転位相に固定したレーザードップラー流速計(LDV)による相対流れ場計測と数値流体力学(CFD)解析により高気液混合流に適した動翼列(+静翼列)に対する内部流れを調査した.その結果,動翼の多翼化と高翼角化により動翼出口流れに通常見られるJet-Wake構造が明確には現れないことが判明するとともに,動翼列下流へ静翼を設置した際には動翼が静翼を通過する際の強いせん断流れが観察された. 次いで,高速度カメラによる気液二相流画像の撮影結果との対応から気泡の微細化過程と流れ場との因果関係について検討したところ,先の動翼が静翼を通過する際の強いせん断流れが気泡寸断効果として主要であろうことが分かった,しかしながら,動翼車と静翼の隙間を極度に狭くすると軸動力が増加しポンプの効率が低下することから,大容量マイクロバブル生成が可能なターボポンプの最適設計には,最適な隙間を見出す必要があることが分かった.
|