研究概要 |
真空凍結現象を利用したマイクロアイス製造技術の開発を目的とし,今年度,液膜・水滴の凝固現象の観察実験と相変化を伴う1次元の熱伝導プログラムの作成を行った. (1)真空中の液膜凝固現象観察実験 液膜の様子を観察できるように透明のアクリルで真空容器を作製し,液膜の凝固現象を観察した.容器内を250〜600Paまで減圧すると水は蒸発し,気化熱によって液体のまま,-15〜-5℃まで冷却され,過冷却の状態に至った.何らかの外乱で過冷却状態が解消されると,容器内圧力は約610Pa,水の温度は約0.01℃になった.この一連の様子を圧力-温度線図で表したところ,水は飽和蒸気圧曲線に従い冷却され,過冷却解消後は水の三重点状態になることを確認した.今後,液膜内の温度分布を測定し,圧力や界面温度に対する蒸発量を測定し,現象を把握する必要があることが分かった. (2)水滴凝固現象観察実験 真空容器内に注射器によって水を噴霧し,水滴の様子を観察した.噴霧直後の容器内圧力は1000Pa程度まで急上昇し,水滴は,氷になる前になくなってしまった.これは噴霧した水滴径が小さいため,すべての水が蒸発に使われたと思われる.今後,ガラス棒などに付着した径の大きな水滴で凝固現象を観察しなければならないことが分かった. (3)凝固過程を有する熱伝導プログラムの作成 相変化を伴う1次元の熱伝導プログラムを,気液界面と固液界面の数値的表現にVOF法を用いて作成した.気液界面での蒸発量を境界条件としており,今後実験で得られる蒸発量で数値計算を行い実験と比較する予定であるが,計算プログラムに過冷却も考慮しなければならないことがわかった.
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