研究分担者 |
鈴木 豊彦 鳥取大学, 工学部, 教授 (60032273)
水本 洋 鳥取大学, 工学部, 教授 (80108795)
北野 博也 鳥取大学, 医学部, 教授 (20153108)
片岡 英幸 鳥取大学, 医学部付属病院, 講師 (00224436)
落合 義孝 鳥取大学, 工学部, 助手 (90032028)
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研究概要 |
本研究の目標は,まず,1.声帯振動が呼気流と連成した振動であることを明確にすることである.次に,2.呼気流を考慮した声帯振動モデルを作成し,実験と理論の両面から声帯振動および発声機構を解明するとともに,生体のダイナミクスを用いた医療診断への応用の可能性を探ることである. そのために,本年度は上記1.に重点を置き,人の自然な発声時の声帯直上および声道内での呼気流速変動と口から放射される音圧の同時計測をおこなった,さらに,発声時の人の声帯直上での呼気流速変動の計測と高速度カメラによる秒間2000コマでの声帯振動の観察を同時におこなった. これらの研究より得られた知見は以下の通りである. 1.声帯直上の呼気流速変動と口から放射される音圧には強い相関があり,共に声帯開閉の周波数(基本周波数)が含まれている. 2.声帯直上の呼気流速には従来考えられていなかった高周波の変動成分が含まれ,この変動成分は呼気流速と仮声帯などの声帯近傍の複雑な形状に依存する. 3.声帯が開いている状態で呼気流が流れ,閉じている時には流れていないとする従来の声帯振動モデルの仮定は必ずしも満足されていない. これらの知見は,従来より人の母音の音響的特性の説明に用いられている音源・フィルタ理論の平面音源の仮定では説明できない呼気流と連成した振動が声帯で起こっていることを明確に示す新たな知見であり,呼気流を考慮したモデルの作成が必用なことを明らかにすることができた.
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