研究概要 |
本研究は,柔軟な神経電極の基板上に微小流路を統合した多機能微小神経プローブの高機能化の追求を目的として行った.これにより薬液投与と神経信号計測の統合をはじめとした次世代の神経プローブに求められる様々な機能が実現可能になると考えられ,神経インタフェースを利用した補綴システムの実現や脳科学のツールとして大きく寄与するものと考えられる.具体的には以下の課題の遂行を目標とした.各課題毎にin vitroの評価から,動物の神経を対象としたin vivo評価実験までを行ない,さらに各機能の統合を目指すこととした.A)流路による薬液入出力(注入とサンプリング)性能の向上(形状の工夫,磁気弁の利用など)B)神経信号計測と薬液注入の同時実現C)流路への再生神経軸索の誘導と個別刺激の検討(電磁気や薬液利用の検討) 平成17年度末までに,下記の課題を遂行した. 1)プローブの作成方法の確立:計画にある各課題を遂行するために,様々な仕様の電極を再現性良く作成するための電極作成方法の確立を行った.特に流路を形成する2つのパリレン層の相互の接着性の向上を図り,実現した. 2)流路による薬液入出力の高精度化:流路による薬液入出力(注入とサンプリング)の高精度化を図るため,流路自体の形状,作成方法の改善を行った.また,電磁弁の実現についての検討を行った. 3)神経再生促進方法の検討:プローブ周辺での神経組織の再生等を促進する方法について検討し,実際にプローブの試作に成功した.神経栄養因子などの薬剤を一定の期間徐放し続けるために,ポリマーに包埋する方法について検討を行った.
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