本年度は、まず、CFDによる数値解析と水槽実験を合わせて行い、表面張力を受ける2次元物体の断面形状および運動を調べた。CFDによる数値解析はFluent社の市販コードを用いて、水面の形状変化を考慮して行った。この結果、計算は初期水面形状や格子形状の与え方に強く影響されることが判明し、計算の信頼性を高めるための初期水面形状や格子形状などが明らかになった。 一方、水槽は回流式のものを自作した。その大きさは70cmX50cmで流速は0〜20cm/秒であり、実験目的のために格子を用いて、表面波を極力抑える工夫をした。この水槽を用いて定常流中で2次元物体が形作る水面形状と物体に働く流体力を同時計測した。水面形状はCCDカメラにより光学的に計測し、流体力はロードセルを用いて計測した。以上の結果、準静的な場合には円柱よりも角柱の方が、表念張力を利用した水面歩行ロボットの安定性を高められること、物体の非定常運動の効果が大きいこと等を定量的に明らかにした。 続いて、表面張力を用いて水面歩行運動を行なう生物の代表として、アメンボの運動を回流水槽で観察した。その結果、脚を非定常に(加速度を持って)動かすことにより効率的に推進している可能性があること、およびアメンボの成虫と幼虫では、体のサイズが違うために運動方法が異なることがわかった。また、アメンボの足の断面形状を測定し、その形状は流体力学的特性よりもむしろ構造力学的な特性を主に満足するように出来ていることを見いだした。
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