研究概要 |
近年,省エネルギーならびに地球温暖化対策のため,風力発電,小水力発電,マイクロガスタービンなどの分散型電源への期待が高まるとともに,これらの分散型電源に適用される中容量から小容量の発電機の高性能化が望まれている。本研究は,筆者の着想による,磁気抵抗(リラクタンス)の変化を利用した新しい発電機の開発を目的として,2ヵ年の予定で行うものである。以下,平成17年度に得られた成果を記述する。 1.単相可変リラクタンスジェネレータの設計:先ず,有限要素法に基づいて,単相の可変リラクタンスジェネレータの動作特性について検討を行った。回転数に対する出力電圧,電流,電力,およびトルクを計算し,可変リラクタンスジェネレータ製作するうえで必要な事項を明らかにした。 2.プロトタイプ機の製作:単相可変リラクタンス発電機の製作を行った。回転子ならびに固定子は無方向性ケイ素鋼板を打ち抜き加工したものを使用し,永久磁石はNd-Fe-Bを使った。固定子極に巻線を巻いて直列結線して出力巻線とした。 3.特性試験:製作したリ単相可変ラクランスジェネレータの回転子をサーボモータで駆動して特性試験を行った。特に,無負荷時ならびに負荷時の出力電圧ならびに電流、トルク、回転数などを詳細に測定した。これらの実測値と計算値は良好に一致し,試作機が所期の特性を有することが明らかになった。試作機の効率は約83%と良好であったが,装置体積に対して出力が小さく,コギングトルクも大きいなどの問題点も明らかになった。 4.三相可変リラクタンスジェネレータの開発:上記の問題点の解明を目的に,三次元有限要素法による詳細な磁場解析を行った。その結果,永久磁石からの磁束が回転子を通過せず空間を通る,いわゆる漏れ磁束が大きいため出力が減少することが明らかになった。これを改善するため,本研究では三相可変リラクタンスジェネレータの木曾特性についても検討を行った。すなわち,三次元有限要素法に基づいて,固定子6極,回転子4極の三相リラクタンスジェネレータの特性算定を行った。その結果,出力密度の向上,コギングトルクの低減,効率向上などの成功改善が期待できることが明らかになった。 以上より,可変リラクタンスジェネレータの基礎特性が明らかになるとともに,高性能化に見通しが得られ,今年度の目標は達成されたものと考えられる。これらの成果は電気学会全国大会,日本応用磁気学会学術講演会等で発表するとともに,日本応用磁気学会誌に掲載されている。
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