研究概要 |
1.高気圧(安定)放電達成のための電源の開発に関する基礎的な調査。および試作電源に半導体開放スイッチ(SOS)を用いた時の諸動作の把握。 高繰り返しパルスパワー電源の効率を悪化させることなく、レーザ装置の高効率化が期待できる電源として、半導体開放スイッチを用いた誘導性エネルギー蓄積型パルスパワー電源が挙げられえる。この形式の電源は,数十ナノ秒オーダーの短パルス励起と数百ナノ秒オーダーのエネルギー注入が可能である。また,動作回路にオープニングスイッチとして半導体開放スイッチ(Semiconductor Opening Switch : SOS)を用いることによって高繰り返し動作が期待できる。パルスパワー応用においては、特にナノ秒オーダーのパルス電圧印加の応用があり、半導体開放スイッチは重要なデバイスとして位置付けられる。しかしながら、SOSダイオードは非線形素子であるため、電源に搭載するためにはその特性を実験的に調べる必要がある。(ロシア製のSOSダイオードを用いた電源の特性はすでに取得済みであり、実際にロシア製のSOSダイオード(SOS-50-2)を用いた電源で、KrFエキシマレーザの発振に成功し、レーザ出力エネルギーが24.8mJ、発振効率が1.08%、パルス幅が47nsという結果が得られている)。しかし、ロシア製SOSダイオードの入手性、コスト面において問題があるため、本研究ではロシア製SOSダイオードの代わりに汎用ダイオードを用いる。 ここでは、汎用ダイオードをSOSダイオードとして用いた電源の特性および放電リアクター(レーザ用放電管など)に負荷を接続した時の高気圧動作下での放電の安定性を得るための諸特性などを調べる。 (結果1)逆方向充電電圧を増加させることにより,逆方向電流ピーク値,出力電圧が共に増加した。 (結果2)逆方向インダクタンスの値を増やすことにより,立ち上がり60ns,-25kVの出力電圧を得た。これは,リソグラフィー用電源としての要求を満たしている。 (結果3)順方向回路通電開始から逆方向回路の通電開始までの遅れ時間T_dを増加させることにより,逆方向電流ピーク値I_<rp>は増加傾向にあるが,T_dが順方向電流の1/2周期よりも大きくなるとI_<rp>は急激に減少する。1/2周期のところが最適である。 3.負荷を接続した時のシステム全体の特性調査。 (結果4)負荷として同軸円筒型リアクターを接続した時のオゾン生成特性において,順方向回路だけの場合,オゾン濃度4[g/Nm^3],オゾン生成効率250[g/kWh]が得られ,逆方向回路を接続した場合1.06[g/Nm^3],250[g/kWh]が得られた。 (結果5)別の放電リアクター(予備放電方式)を用いて最大動作5atmまでの放電特性を測定した。最大入力電力90MW(5atm Ar中),注入エネルギー密度1.4MW/cm^3が得られた 4.動作圧力を変化した時の予備放電と主放電の時間関係と主放電への影響について調べる。 (結果6)予備放電回路のC_<pr>および最大注入電力密度を制御することにより均一な主放電が得られた (結果7)電極近辺の電界強度分布を計算し,実際に得られた放電写真との対応を調べほぼ一致した。
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