研究概要 |
家庭菜園用プランターに入れた日向ボラ土に銅メッシュ電極とアルミニウム電極を埋設して灌水した後,両電極間に直流電圧,及びパルス高電圧を印加し,土壌の電気伝導度(EC)の変化をECセンサ(藤原製作所PFC-42)を用いて調べた。使用したボラ土の初期のECは約45mS/mで,これに400Vの直流電圧を印加した場合,約1mAの電流が流れた。土壌のECは直流電圧印加時間とともに減少し,2時間後には40mS/mへ減少した。この原因として土壌中のイオンが印加電界によって分極し,ECが減少したと考えられる。一方,パルス電圧(1kV,パルス幅20μs,繰り返し周波数10Hz)を2時間印加した場合,ECは43mS/mから約50mS/mへ増加し,パルス高電界によって土壌中の金属塩類等がイオン化したと考えられる。使用したボラ土の粒径が大きかったため,銅メッシュ電極間の保水性が悪く接触抵抗が大きくなり,銅電極から土壌への銅イオンの溶出は確認できなかったため,印加電圧の高電圧化や電極と土壌との界面への電解質の導入が必要と考えられる。 並行して行った土壌中への高濃度オゾン注入による黒ボク土壌処理においては,土壌内のウィルス,線虫の殺菌・駆除が確認され,また土壌のpHやEC,温度などの物性が変化した。また,処理土壌では野菜(キュウリ,トマト)の生育改善が見られた。黒ボク土壌に含まれる鉄がオゾンによる酸化反応によって発熱し,有機物の分解を促進したことによって植物への養分の吸収率が高まったと考えられる。今後,土壌中へのイオン注入量の増加や土壌中イオンの活性化をはかるとともに,土壌中空隙でのオゾン等ラジカルの生成を行うために高電圧パルス電源の試作を行った。
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