研究課題/領域番号 |
17656100
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原 真二郎 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (50374616)
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研究分担者 |
福井 孝志 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (30240641)
本久 順一 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 助教授 (60212263)
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キーワード | 有機金属気相成長 / 強磁性体 / III-V族化合物半導体 / ナノ構造 / スピンエレクトロニクス / インジウム燐 / ガリウムインジウム砒素 / マンガン砒素 |
研究概要 |
GaInAs/InP薄膜への強磁性MnAsナノ構造のエピタキシャル成長技術確立を目的とし、プレーナのInP{111}面上の有機金属気相成長(MOVPE)及び磁化特性評価を行った。MnAsナノ構造形成に関し、結晶面方位依存性や、成長温度(T_g)・供給ガス(AsH_3及びMn)混合比率(V/Mn比)等の成長条件依存性の基礎データ取得を行った。閃亜鉛鉱(ZB)型化合物半導体{111}面は、格子不整合が存在するものの原子配置が六方晶のNiAs型MnAsと類似で、結晶軸の揃った強磁性MnAsナノ構造の複合に好適と考えられる。GaInAs/InP(111)A・(111)B・(001)面上にT_g=600℃・V/Mn=375の条件下で実際にMnAsをMOVPE成長した。(001)面では矩形のナノクラスタが形成される一方、(111)A及びB面では六角形ナノクラスタが形成された。そこで(111)B面上の六角形ナノクラスタに対し、断面格子像観察(TEM)、組成分析(EDX)、電子線回折による構造評価を行った結果、六方晶のNiAs型MnAsナノクラスタが立方晶のZB型GaInAs表面に形成され、六方晶の[001]方向(c軸)がGaInAsの[111]B方向と平行であると判明した。磁化特性の印加磁場方向依存性を試料振動型磁力計により室温にて評価した結果、基板面内に磁場を印加した場合、常にM-H曲線が強磁性的なヒステリシスを描く一方、基板面と垂直の場合、主にInP基板に起因する反磁性を示した。これはMnAsの磁化容易軸(a軸)が面内に、磁化困難軸(c軸)が面と垂直方向にあることを示しており、結晶構造評価結果と極めて良い一致を示す。さらにT_g及びV/Mn比依存性を調査し、形成されるMnAsナノクラスタの密度(10^7〜10^9cm^<-2>)・サイズ(高さ:6〜400nm,幅:60nm〜1.0μm)に関する知見を得た。
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