研究課題/領域番号 |
17656103
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡辺 和雄 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30143027)
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研究分担者 |
西島 元 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30333884)
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キーワード | 銀シースBi_2Sr_2CaCu_2O_8 / 高温超伝導体 / 電界電流特性 / 抵抗状態 / 磁束クリープ / 臨界電流 / 不可送磁場 / n値 |
研究概要 |
高温超伝導体における抵抗ゼロでの臨界電流応用ではなく、臨界電流値以上での極微小抵抗領域に着目している。高温超伝導体の極微小抵抗領域における熱的安定性を金研の強磁場センターで実験的に検証するために、昭和電線から供給してもらった未熱処理の銀シース極細多芯Bi2212丸線を用いた。磁場中熱処理を施した試料と比較のために無磁場中で熱処理した試料を準備した。15T無冷媒超伝導マグネットの52mm室温ボアに組み合わせが可能なGM冷凍機冷却温度可変クライオスタットの試料ホルダーに試料をセットした。実験では、磁場中熱処理を施したBi2212線材は微小抵抗領域の遷移状態を表すn値が大きくなることが分かった。E-Jカーブから得られる磁束ピニングの分布は磁場中熱処理によって鋭くなる傾向にある。このことは、磁場中熱処理によって組織が微細化されることと関係するものと推測され、次年度は組織との対応を研究していく。磁場中熱処理を行うと、磁場のエネルギーがギプスエネルギーを低下させるために、核生成を促進させて結晶の微細化が進むのでないかと考えられる。このことは、磁場によって対流を抑えるために核生成を少なくする効果とは正反対であることに着目したい。したがって、磁場中熱処理によってBi2212線材のn値を制御できる可能性がある。これまでに得られているBi2212線材のE-J特性について議論をするために、2ヶ月間クルチャトフ研究所のVladimir R.Romanovskii博士を招聘した。異なった非線形E-J特性を示すBi2212超伝導体の安定で不可避的な過剰発熱と電流不安定条件の検討を行って論文投稿を準備した。
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