研究課題/領域番号 |
17656106
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岩本 光正 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (40143664)
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研究分担者 |
間中 孝彰 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (20323800)
伊藤 栄次 信州大学, 工学部, 助教授 (50303441)
久保田 徹 情報通信研究機構, 関西先端研究センター, 主任研究員 (00205139)
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キーワード | 電子・電気材料 / 小数電子素子 / 誘電体物性 / トンネル現象 |
研究概要 |
本研究では、有機材料のフレキシブルな性質を2つの観点から研究し、有機単電子トンネル素子特性を通してその検証を試みるものである。第1は、分子レベルでのフレキシブル性、すなわち構造に対する自由度の高さを外部刺激に対する分子形状変化に伴う素子特性という点から量子論的に研究する。第2は、分子集合体のフレキシブル性に起因して形成される有機分子膜形状パターンを弾性体理論を用いて自由エネルギー論の立場から解析した上で、決定された形状パターンに対する量子構造を決定する。 本年度は、分子のキラリティーと単分子膜の構造に着目し、単分子膜のパターン形状をキラル分子からなる単分子膜が蓄える静電エネルギーという観点から解析し、配向ひずみを持つドメインのshape equationを求めることで、現れる膜パターン構造とキラリティーとの関係を明らかした。具体的には、キラル分子からなる単分子膜のドメインから、電気四重極子密度が発生する事に注目することで、キラル分子からなる単分子膜の蓄える静電エネルギーを解析した。通常の物質では電気四重極子の効果は無視できるほど小さいが、単分子膜の場合には自発分極の効果に匹敵する程度の大きさをもつ。このような電気四重極子の効果によって、単分子膜のドメイン構成分子のキラリティーに依存した形状を再現できた。実験的には、Maxwell変位電流法(MDC)とBrewster角顕微鏡(BAR)を用いて右手キラル分子からなる単分子膜と左手キラル分子からなる単分子膜の配向状態とドメイン形状を比較した。右手キラルのドメインと左手キラルのドメインは、互いに鏡像の関係になる形状を形成するが、MDC信号は同じ傾向を示すことを確かめた。現在、ドメイン形状の制御を目指して、外部電界印加について検討を進めている。
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