研究課題
平成18年度は、高速及び高品質化が望まれるディジタル無線移動体通信方式のビット誤り率の低減と通信路容量の増大を目的としたMIMO通信路における時空間符号化方式に関して、(1)LDPC符号化MIMO-OFDMにおける信号分離検出方式、(2)MIMO-OFDM固有モード伝送を用いた適応変調Hybrid ARQ方式、(3)MIMO周波数選択性通信路における時間領域多重伝送等化器に関して研究を行った。特に、(3)のMIMO周波数選択性通信路における時間領域多重伝送等化器に関しては、周波数選択性MIMO通信路に対する時間領域の送信側プリコーディング方式に関し検討した。時間領域に分散した送信電力を受信側で全て利用する完全直交化通信路を実現し、周波数領域等化のOFDM伝送を用いない時間領域伝送方式を提案した。併せて送信側で通信路情報を必要としないMIMO-SC/MMSE時間領域等化器に関しても検討を加えた。上記の(1)〜(3)の研究項目に対する研究成果を、次ページの平成18年度研究発表に示す。研究発表1)〜9)では、「時空間符号化無線通信方式に関する研究」に関し、上記(1)〜(3)の項目からなる複数テーマに多角的な面から取り組んでいる。しかし平成18年度は特に以下に述べる研究内容につき多くを割いて取り組んだ。近年、携帯電話や無線LANなどの移動体無線通信分野では、益々の高速化・大容量化の需要が高まっているが、今後は劣悪な通信路環境においても高品質な通信の確立が必要である。特に音楽や動画等のマルチメディア通信とは異なり、安全走行の為のITS(Intelligent Transport System)やロボット制御における制御信号の無線伝送などに於いては、リアルタイム性と誤動作防止の為の超高信頼性が求められる。これに対してはMIMo技術の使用が最適である。また強力な誤り訂正能力を持つLDPC符号も使用できる。さらに高移動体速度でも信頼度の高い通信を可能とするためには、高性能な等化能力を持つ時間領域の等化器が必要である。平成18年度は特に、これらMIMO技術、LDPC符号化技術及び高性能時間領域等化器技術を組み合わせた、高速度移動体通信用の超高信頼度な無線データ伝送方式を(1)〜(3)の方式を通して提案した。これらの中でも特に(3)MIMO周波数選択性通信路における時間領域多重伝送等化器の開発に重点を置いた。すなわち周波数選択性のマルチパスMIMO通信路に於いて互いに独立な通信路を複数本得る周波数領域のOFDM伝送を用いない時間領域のMIMO固有モード伝送方式を提案した。また伝送容量の最大化を行う為に、得られた各固有モード伝送路の利得に応じて送信電力量の最適配分を行った。さらにLDPC符号を時間領域MIMO固有モード伝送方式に適用し、さらなる高信頼度化を図った。計算機シミュレーションを用い提案方式のビット誤り率特性を評価し、比較対称である別の提案方式であるMIMO-SC/MMSE(Soft Canceller with MMSE filter)方式と比較して、その特徴及び利点を確かめた。
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