研究概要 |
センチメートルオーダのマイクロロボットを制御や通信の対象とする場合,まず,エネルギーをどうするかが問題となる.電池は一つのエネルギー供給源であり,時々休ませて使用すると長寿命化できることを我々は経験によって知っている.しかし,それによってどの程度長寿命化できるかという定量的な値についてはまったく知らない.本研究では,種々の電池について,放電制御による長寿命化の効果を実験によって明らかにした.放電電流値,休みの間隔や休みの長さを変化させて電池を放電させ,電池の両端の電圧が半分になるまでの時間を測定した.その結果,マンガン系の電池よりもアルカリ系の電池の方が,放電を制御することによってより長寿命化でき,連続して使用する場合に比較して,ある電池では三倍以上長寿命化できることがわかった. 一方,マイクロロボットを無線でネットワーキングする場合,情報を伝送するキャリアについて議論する必要がある.本研究では,キャリアの波長サイズとロボットの物理サイズとから,どのようなものが情報キャリアとして適するかを議論した.電波を使う場合,センチあるいはミリメートルサイズの波長でないとアンテナの効率が良くないが,このような高マイクロ波帯の電波は空気や水による減衰が大きい.また,音波を使う場合,センチあるいはミリメートルサイズの波長は数から数十kHzの周波数で実現可能であるが,情報伝送速度が電波に比べて極端に小さくなる.一方,エネルギーの有効利用の観点からは,波を連続的に送信するよりも,オンオフを用いて,波を送信しないことにも情報を乗せるインパルス無線タイプの信号形式が優れる.マイクロロボットの物理サイズがさらに小さくなるならば,電波や音波は情報キャリアとして使用できなくなり,酵素やたんぱく質等の物質を情報キャリアとして使用しなくてはならなくなる.
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