研究概要 |
無線を使ってネットワーク化された複数のロボットから構成されるネットワークロボット(networked robots)に対して,それらの行動制御とネットワーキングに適した物理層での無線変復調方式,リンク層でのアクセス制御方式,ルーチング等のネットワーク層でのネットワーキング方式,およびそれらの行動を制御するアプリケーション層でのアルゴリズム,等の生能を実験によって検証することができる,汎用性の高いプロトタイプネットワークロボットを設計し,試作を行った.各ロボットはキャタピラを持ったタンク型で,様々なセンサを取り付けることができるスロットを複数装備しているので,外界のセンシング情報を基にしてロボットは自立的に行動を制御できる.物理層とリンク層の方式についてはCFカードに差し込むカードを変更することによって,また,ネットワーク層とアプリケーション層のアルゴリズムについてはC言語でプログラム可能である. ロボットがマイクロ化された場合,エネルギとメモリの制限から,各ロボットには自分の位置や向いている方向を知ることができるセンサを装備させることが難しくなる.従って,何らかの方法で,ネットワークマイクロロボットに共通の一つの座標系を生成させ,その座標系において自分が向いている方向を各ロボットに教えることが必要となる.実機の試作に並行して,「受信電力を測定する」という無線通信手段の中の能力だけを用いて,共通座標系と各自の方向を教えるアルゴリズムを考案し,その特性を計算機シミュレーションによって評価した.このアルゴリズムでは,まず,基準となるピボットロボットを3台選択する必要があるが,受信電力の大小関係から,なるべく遠くに位置する3台のロボットを選択する方が,各ロボットの共通座標系での位置推定誤差ならびに自分が向いている方向の推定誤差が小さくなるという新しい知見を得ることができた.
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