本研究を構成する技術として、(1)飛行体を被災地上空に滞留させる技術、(2)飛行体が飛行機、ヘリコプターである場合の無人制御技術、(3)このように被災地上空にある飛行物体間の通信技術、などが上げられる。平成17年度ではこのうち、主に(1)、(3)について検討を進めた。 飛行体を被災地上空に滞留させる技術:滞留可能なものとして、有人飛行機、ヘリではなく無人であることを考慮すると、風船(バルーン)、ラジコン型飛行機、ヘリ、等が想定される。これらの機器を滞留時間、制御方法の容易さなどの観点で評価し、基本形となるバルーンを用いた滞留実験を行った。このバルーンには将来飛行体の位置を知る上で必須となるであろうGPSを搭載し、時々刻々変化するバルーン位置のモニタ実験を実施した。また、バルーンではゴム膜からのガスの流出が問題となり、浮力の経時変化が重要であるが、実験を通じてその経験式を求めた。 一方、能動的な無人航空機としてラジコンヘリコプターを調達し基本操作を学習中であるが、4要素の制御が思った以上に複雑であることが判明しつつある。 飛行物体間の通信技術:通信装置から見れば、その通信端末が飛行機であるか否かは余り大きな意味を持たない。このため、はじめに人が端末を持ち運び、移動する飛行体間の通信を模擬した。研究対象とした通信システムは端末数3〜5、通信装置は400MHz帯特定小電力無線機で、通信範囲半径約600mのものである。相互にGPSからの位置情報を確認し、通信距離外にいる相手には他の通信端末が中継(マルチホップ)して通信するシステムを開発した。通信制御ソフトは自家製である。
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