研究概要 |
確率共鳴を利用して,雑音に埋もれた微小信号の検出感度を向上させる全く新しい方法を確立することを目的に,雑音の帯域や強度などの性質が微小信号の検出感度に与える影響を調べた。信号としては,アナログやパルス,ビット列等の波形を用い,信号波形の性質による検出感度向上の相違にも注目した。 まず,実験系の一つとして光双安定系を用いた確率共鳴の実験装置の製作を行った。この実験装置は,赤色の半導体レーザー,電気光学変調器,光学素子,増幅器,ミキサー等の各種電子回路及びコンピューター等から構成されるものである。特に長時間的な安定性を重視して,製作装置の調整,テスト,改良の作業を繰り返し行い,目標の性能を持つ実験装置を完成させた。 雑音及び信号波形の性質及び強度を変化させ,光双安定系の入力と出力における信号検出感度測定し,これらの結果を解析した。この結果,他の方法では検出が殆ど不可能な微小信号が,一定の条件のもとで,検出される可能性を示すことが出来た。また,音声を含むオーディオ信号を対象とする研究を計画し,予備実験を行った。 また,電子回路の双安定系を製作し,光双安定系における研究と同様の研究を行い,光双安定系における結果と比較する研究の準備を整えた。 以上の結果,実際の画像データの伝送実験等を行い,本研究のシステムが信号伝送に応用可能な特異かつ有力な方法であることを実証する研究を行う来年度計画の遂行にも十分な準備が整ったといえる。
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