研究概要 |
前年度に引き続き,RFIDタグが送る電磁波の特性と,地盤の電磁波伝播特性を詳細に検討した上で,模擬土層での計測実験の準備を行った.タグの選定と土層の閉め固め度の見極めが重要であり,電磁気学から通信工学にわたって,さらに土壌の環境計測の分野において,前年度より手を広げて広く文献調査を行った.前年度に引き続き,既知の実験結果を基礎データとし,タグの位置同定の数値シミュレーションを試みた.これは,タグが撒かれた地盤モデルを作り,想定された電波を入射した場合に地盤外で計測されるタグの誘導電磁波を使って発信源であるタグの位置を同定する逆問題である.この逆問題は数学的に難しく,非適切性が極めて強いことが判明した.この非適切性は計測誤差の影響によるもので,位置の同定精度が計測精度よりも大きいことが理解された.すなわち,計測誤差が増幅されて同定誤差になってしまうのである. 一方,密閉空間や実験模擬土層では電波の乱反射が予想以上に大きく,電波計測の安定性が低いことも判定した.長時間の計測によってデータをスタッキングして誤差を除去したり,特殊なアンテナを持つディバイスを作ることを検討している.アンテナとディバイスを設計し,プロトタイプを作成した.
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