研究概要 |
1.音の伝播に関する有限要素解析法の開発[野村,長谷部]:気象要因を考慮した音の伝播に関する基礎方程式を検討し,風速分布,温度分布の影響が入る方程式として,音圧変動と音場に関する微小な流速変動の2つの変数に関する非定常線形の連立偏微分方程式を採用した.研究計画の初年度に当たる今年度は,この基礎方程式を解くための2次元の有限要素解析法を構築した.ガラーキン法による重み付き残差方程式を線形三角形要素で離散化し,時間に関する1階のマトリックス方程式を誘導した.時間積分法にCrank-Nicolson法と1次後退差分法を適用して比較したところ,後退差分法の方が,数値解の空間振動がない良好な解を得ることが分かったので後退差分法を採用した.計算境界を波動が透過するための透過境界条件には,Murの透過境界条件を採用した.検討した範囲の数値解析例では十分に波が透過することを確認した.風の影響に関してはドップラー理論と比較し,温度成層の影響に関しては屈折の法則と比較して,それぞれ理論値と良好に一致する解が得られることを確認した. 2.都市空間の有限要素メッシュ分割法[樫山]:三次元Delaunay分割法を用いて,複雑な実在都市の外部空間を四面体要素で分割する自動的で汎用的な方法を開発した. 3.騒音に及ぼす風の影響の実測[野村,長谷部]:校舎の屋上にすでに風向風速計と,騒音源としての小型風力発電機が設置してある.ここに風車の北方と東方に等距離隔て騒音計を2台設置し,風向風速と2地点の騒音を同時に観測測定するシステムを構築し,予備的な計測を行った.
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