研究課題
都市の一般廃棄物の力学特性を実験的に調べ、廃棄物地盤の最大の問題と考えられている地盤の長期沈下現象の対策を研究した。最初に断っておかねばならないが、近年普及の進んでいる焼却灰の処分場地盤は力学的に十分安定しており、地盤沈下の問題は存在しない。そこで本研究は、不燃ごみの投棄からなる地盤を対象としている。不燃ごみは破砕を経ているとはいえ、構成粒子(ビニール片など)の寸法が最大数センチある。従って本研究のように大型実験装置を用いることが、きわめて望ましい。本研究で製作した装置は直径30cmの試験体を用いるもので、操作性も考慮すれば、十分な大きさである。この装置に試験体を設置し、せん断実験、繰り返し載荷実験、および長期圧密実験を行った。その結果によれば、そのままの状態では不燃性ゴミ地盤はきわめて軟弱であること、しかしプレローディングと呼ばれる伝統的な地盤改良技術を用いてあらかじめ圧縮を起こさせておくと、その後は沈下の少ない安定した状況を作り出せることがわかった。さらに、ゴミ地盤上の建築物を安全に支えるための杭基礎の実験を実施した。実地盤中における深さ方向の応力変化を考慮するために、模型地盤に空気圧で上載圧力を作用させ、その中で杭と地盤の間に作用する摩擦抵抗を測定した。これらの成果を利用してゴミ地盤上の建築物の沈下解析をなったところ、ブレローディングとパイルドラフト形式の基礎を組み合わせることにより、沈下を9割削減できることが判った。
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第41回地盤工学会 (投稿中)
Proc. XVIth International Conference on Soil Mechanics and Geotechnical Engineering, Osaka Vol.4
ページ: 2273-2276