研究概要 |
汚染土壌の浄化対策には,拡散防止技術と分離・除去技術に分けられる。これまでは,封じ込め法や固化不溶化法による拡散防止技術が中心であったが,分離・除去技術は,土壌環境基準だけでなく汚染物質の含有量基準を満たさない場合にも効果がある手法として注目されている。本研究では,水質改善に適用されている磁気分離法に着目し,さらに,汚染土壌に適用されている電気修復法との組み合せによって,短期間で汚染物質を除去するための新しい技術を開発することを目的としている。すなわち,磁気分離法と電磁修復法のお互いのメリットと相乗効果を実験的に明らかにする。 (1)磁気力による重金属イオンの移動とローレンツ力によるイオンの移動についての基礎的実験を行った。今回は両者とも界面動電現象による影響を上回るほどの結果は得られなかったが、ローレンツ力が粘土地盤内でもわずかながら作用することが示された。 (2)磁気分離を行いやすくするための磁気種付けとして用いられるフェライト法を重金属汚染土に用いると、重金属イオンの溶出がかなり低減されることがわかった。また,フェライトだけでなく,それを生成する前の鉄との複合水酸化物は不溶化技術としても利用できる可能性があることを示した。さらに、フェライトの不溶化効果は、加えるFe^<2+>イオンの量が多いほど優れた効果を示した。 (3)土中で生成されたフェライトは超伝導マグネットを用いた磁気分離によって除去が可能であった。しかしながらフェライト形成時に土粒子を化学的に吸着し、土粒子を含んだ形でフェライト化していると考えられ、それを防ぐ操作が必要である。
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