研究概要 |
100μg/Lの環境ホルモン物質17β-エストラジオール(E2)及びビスフェノールA(BPA)溶液に沈水植物アナカリスを浸漬した吸収実験を行ない,E2,BPAに対するアナカリスの吸収・除去能力の有無を検証した.またアナカリスが群生している実河川として,神奈川県川崎市を流れる二ヶ領用水において現地調査を行い,現地に群生しているアナカリスのE2,BPAに対するファイトレメディエーション効果を検証した. 吸収実験は静水中における吸収実験及び流水中における吸収実験の2通りの実験を行なった.静水中における吸収実験では,得られた水溶液試料及び植物試料内のE2,BPA濃度の挙動から,アナカリスはE2,BPAを体内に吸収し体内で除去する能力を有する事がわかった.流水中における吸収実験においても,得られた水溶液試料及び植物試料内のE2,BPA濃度の挙動から,アナカリスは静水中と同様にE2,BPAを体内に吸収し,体内で除去する能力を有する事がわかった.しかし流水中においてアナカリス表面へのE2,BPAの付着は,水の流れが速いほど阻害された.アナカリスがどの程度吸収・除去するかに関しては,可視光常時照射及び水温一定(25℃)の条件下,沈水植物アナカリスを100μg/LのE2,BPA溶液に投入すると24時間後において,静水中ではE2を41%,BPAを31%除去し,流水中ではE2を27%,BPAを43%除去した. 二ヶ領用水における現地調査では,河川水及び群生しているアナカリスを採取しE2,BPA濃度を分析した結果,アナカリスが繁茂している区間における河川水中のE2,BPA減少速度(ng/L/min)は,繁茂していない区間の減少速度よりも速かった.また,本研究における吸収実験において設定した濃度(100μg/L)と比較して極低濃度のE2,BPAに関しても,現地に群生しているアナカリスは体内に吸収し除去していた.
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