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2006 年度 実績報告書

河川水生植物による内分泌撹乱物質の吸収・分解機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17656157
研究機関東京工業大学

研究代表者

池田 駿介  東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (60016590)

研究分担者 浦瀬 太郎  東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (60272366)
大澤 和敏  東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (30376941)
キーワード水工水理学 / 有害化学物質 / 水質汚濁防止・浄化 / 環境分析 / 環境技術
研究概要

生活排水に含まれる内分泌撹乱化学物質(以下EDCs)は,下水処理場において大部分が除去されながらも極微量ではあるが河川に排出されている.そのような河川に排出されたEDCsを除去する方法として,植物が有する物質吸収能力を利用した浄化法(ファイトレメディエーション)が注目されている.既往の研究では,EDCsが吸収・分解されているという報告はあるが,水温のような実際に季節変動のある環境条件について考慮している研究は報告されていない.本研究では沈水植物アナカリスを利用し,EDCsの環境条件の変化における吸収・分解能力に及ぼす影響の評価を行い,実際の現場における,ファイトレメディエーションの適用性について検討することを目的とした.
室内実験として,EDCsであるビスフェノールA(BPA)及び17β-エストラジオール(E2)を100μg/L溶液に調整し,異なる水温条件でのアナカリスの吸収実験を行い,EDCs除去能力に対する水温の影響の検討を行った.実験開始72時間後,水温が10℃の条件下ではBPAを11.2%,E2を14.1%除去し,水温が25℃の条件下ではBPAを41.5%,E2を50.9%除去した結果が得られ,25℃では除去能力が著しく向上することがわかった.さらに,実験系を滅菌することによりアナカリス表面の微生物を除去して同様の吸収実験を行った.滅菌した系と滅菌しなかった系ではEDCsの除去量はほとんど変化せず,EDCsの除去にはアナカリス表面の微生物は関与しておらず,アナカリス自身がEDCsの除去能力を持っていることがわかった.
また,神奈川県川崎市を流れる二ヶ領用水において,河川水を採水及びアナカリス,付着藻類を採取し,BPA, E2濃度の測定を行い,実河川でのファイトレメディエーション効果を検証した.二ヶ領用水に生息するアナカリス,藻類はいずれもBPA, E2を含有しており,用水路中では流下に伴いEDCsが減少する傾向にあった.さらに,室内実験の結果と同様,水温の高かった8月では他の月と比べてEDCsの減少量が極めて大きかった.室内実験の結果から,二ヶ領用水でのアナカリスによるEDCs除去量を試算した結果,用水路中での正味の減少量のいずれも20%以下であり,実河川ではアナカリスだけでなく微生物や藻類,またそれらの相互作用によりEDCsの浄化が行われていると考えられる.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 流水中における内分泌攪乱物質の沈水植物による浄化2006

    • 著者名/発表者名
      金井康一, 古賀智之, 池田駿介, 大澤和敏
    • 雑誌名

      河川技術論文集 12

      ページ: 299-304

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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