平成19年度では、平成17、18年度の研究成果として確認された災害時の個人交通需要変動の3要素(不動トリップ、遅れ浮動トリップ、早め浮動トリップ)と、交通需要変動の諸特性(周期性、復帰性、ピーク性、類似性、パース・ディペンデントなど)を元に、災害時の交通需要を分析する枠組としての1つのパラダイムを用いて個人交通需要の変動メカニズムの概念化を図った。 これは、風船のある部分に圧力を加えると、風船の空気は移動し特定の部分が膨らんでしまうという現象と同様に、通常の交通需要空間に地震という外圧が加えられた場合、交通需要空間は、地震発生直後縮小(↓)し、その後ピーク(↑)を形成して収束(↓)して行くという需要空間の時系列移動(変動)を、事例から概念化したものである。 一方、分析結果については、事例から概念化はしたが、一つの理論的なパラダイムとして認識するための課題(分析データの少なさ)が残されている。この課題は、災害という状況での調査の難しさや、人的・財的なリソースの限界による調査の困難さなどが要因である。しかし、少しずつその改善を工夫しつつある。 また、平成19年度の研究成果については、既に最終的な確認が終了しているが、当該年度の成果発表が間に合わなかったものの、至急その成果を取りまとめ、昨年度までと同様、査読論文として学会(土木学会)に公表していく予定である(執筆中)。
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