研究概要 |
本研究は,1990年代からアメリカで開発された,利害に基づく協調的交渉を通じた合意形成プロセスを仲介者(メディエーター)の運営化で進める「コンセンサス・ビルディング」の手法を対象として,実際に我が国で進められつつある試験的な運用に着目して,その効果を分析することで,その適用性と課題を整理する.初年度は以下の研究を実施した. 1)コンセンサス・ビルディング・プログラムに関する分析 合意形成研究所で行われているコンセンサス・ビルディングに関係する基礎的資料(プロセス管理,各プロセスで用いられる手法・規約・分析フレーム,マニュアル)の収集,和訳,分析を行い.我が国への適用に際して,研修者の理解しやすさや,我が国の文化的制度的背景に適合させる修正を検討した. 2)公共事業における合意形成プロセスの実態分析 我が国および米国で進められている合意形成事例について、資料を元にその実施実態を調査分析した.特に,道路整備事例に関わる公共紛争に着目して,運営者の中立性、参画者の選定プロセス、協調的話し合いの場の規約・手順・進行方法などを分析した. 3)公共事業を対象としたコンセンサスビルデキング手法の適用分析 事故多発交差点の安全施策検討について,紛争アセスメントから委員会設立と審議を第三者(NPO)が主体となって運営するというコンセンサスビルディング手法の適用事例を実施し,生じる課題を分析した.運営はNPOコモンズの協力,手法導入には,MIT合意形成研究所に留学中のNPOピーアイフォーラムメンバーの協力を得た. 次年度は,以上の情報を整理し,得失と課題を整理する予定である.
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