研究課題/領域番号 |
17656167
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 弘泰 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教授 (90251347)
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研究分担者 |
味埜 俊 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60166098)
小貫 元治 東京大学, サステイナビリティ学連携研究機構, 特任講師 (20376594)
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キーワード | 活性汚泥 / 糸状性細菌 / バルキング / バクテリオファージ / Sphaerotilus natans |
研究概要 |
昨年度に引き続き主としてSphaerotilus natansを宿主とするバクテリオファージ(ファージ)の分離を目的として、検討を行った。本年度はジルコニアビーズにより宿主を分散させてから寒天培地にまくことで、宿主が均一に生えた培地を調整できることがわかった。ファージの分離源としては、3カ所の実下水処理場またはし尿処理場および実験室活性汚泥リアクターの上澄水を0.02uMのフィルターでろ過したものを用いた。しかし、いずれの場合にもプラークが形成されることはなかった。ファージをあらかじめ増加させるために前培養として宿主とファージ分離源のろ過後試料とをまぜ、さらに基質を加えて培養し、その後その上澄をろ過してプラーク形成を試みたが、それでもプラークが形成されることはなかった。また、本年度は新たにThiothrix disciformisを宿主として、同様の試験を行った。しかし、それでもプラークが形成されることはなかった。 一方、ファージ分離源とするろ過後試料と宿主細菌、および基質をあわせて液体培養し、その上澄中のウイルス様DNAのプロファイルをパルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE法)により観察した。この方法では、ウイルスのように外套により保護されたDNA分子だけを対象として、大きさにより分別することができる。その結果、ウイルス様DNAのプロファイルには培養開始後数日で特有のバンドが発生した。プラークを形成するほど溶菌力が高くないファージに起因するバンドである可能性がある。また、ここで開発したPFGE法は、活性汚泥中のバクテリオファージの挙動を把握するために非常に有用なツールであることを示すことができた。 本研究では、当初掲げたような、糸状性細菌に寄生するファージを分離して積極的に利用するというところまでたどり着くことができなかった。しかし、活性汚泥中のバクテリオファージの挙動を調べたり、また、溶菌力の小さなバクテリオファージを調べるための手段として、PFGE法を導入することができた。
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