研究課題/領域番号 |
17656175
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
畑中 重光 三重大学, 大学院工学研究科, 教授 (00183088)
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研究分担者 |
谷川 恭雄 名城大学, 理工学部, 教授 (70023182)
三島 直生 三重大学, 大学院工学研究科, 助手 (30335145)
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キーワード | 表層強度試験器 / 歴史的建造物 / 圧縮強度 / 削孔試験 / 標準偏差 / セメントペースト / レンガ / モルタル |
研究概要 |
本研究では、非破壊試験の手軽さと破壊試験の信頼性を両立させるべく、小径のドリルを用いて被測定体を削孔し、その削孔速度から、被測定体の強度を推定する手法を考案し、その試験装置および試験方法に関する検討を進めている。 本年度は、前年度の実験結果から明らかとなった、圧縮強度推定のための測定値のばらつきを改善するために、新たに先端ドリルビットの改良を行い、その結果に基づいて、圧縮強度の推定手法に関する検討を行った。以下に得られた知見をまとめる。 (1)先端ドリルビットの改良 前年度の実験結果より、先端ドリルビットに用いるダイヤモンド砥粒のサイズおよび形状を変更し、突出したダイヤモンド砥粒を減らした。また、削孔粉の排出を改善するために、先端部に逆テーパ角を付け、さらにスリットを入れる等の改良を行った。ダイヤモンドビットの改良の効果を検討した結果、削孔速度の標準偏差は通常ビットの半分程度に改善され、充分な改良の効果が得られたことを確認した。 (2)セメントペーストを用いた圧縮強度推定手法 各種の強度レベルのセメントペーストを試料とした実験の結果から、圧縮強度推定のための検量線を導くとともに、ばらつきの評価も行った。 (3)モルタルおよびコンクリートを用いた圧縮強度推定手法に関する検討 各種の強度レベルのモルタルを用いた削孔試験を行った。その結果、モルタル内部の細骨材の影響により、削孔速度のばらつきが非常に大きくなるため、細骨材に当たったときの低削孔速度のデータを棄却し、残りのペースト分の測定結果のみを抽出して圧縮強度との相関を見た。その結果、調合によらず概ね1本の直線で圧縮強度と削孔速度の関係が決定できることが明らかとなった。 (4)海外における歴史的建造物の劣化調査 タイ国の世界文化遺産であるアユタヤーおよびスコータイ遺跡の劣化度を調査し、今後の保存事業における本試験機の適用性について検討した。
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