建築構造に使われた木材の構造材料としての性能を現す指標である曲げ強度と圧縮強度を、ビス引き抜き試験に測定したビス引き抜き強度から推定できることを明らかにすることを目的とした。老朽化した木造骨組に使われた木材の構造材料としての曲げ強度や圧縮強度は、構造体を取り壊さずには直接測定することができない。このため、非破壊で測定できるビス引き抜き強度から、これらの強度を推定する方法を用いた。 サンコーテクノ株式会社製テクノスターR-2000NDを用いて行ったビス引抜き強度と、別に同種の試験戴で行った曲げ強度と圧縮強度の測定結果を比較し、両者に相関があり、前者で後者が推定できることを明らかにした。木材の種類は11種類であり、含水率が4種類のそれぞれについて、ビス引き抜き強度から曲げ強度または圧縮強度を換算する係数を導いた。 ビスの先端のねじ込み長さが5mmまでは、ビスの引き抜きに対して抵抗しないことが、試験結果から判明した。このため、ビスの先端の5mmは、ビス引き抜き荷重の大きさに影響しないと考え、ビスねじ込み長さから5mmを引いた長さをビスねじ込み有効長さすることが適当であることが明らかになった。また、ビス引き抜き荷重をビスねじ込み有効長さで割ったビスの長さ1mm当たりの引き抜き荷重でビス引き抜き強度を表すことが適切であると考えられた。含水率の影響は、新材の木材で小さく、古材の木材で大きいことが明らかになった。
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