北海道のように冬季の積雪が多い寒冷地では、駅やバス停など公共交通機関の交通結節点の計画において雪や寒さへの対策が必要で、都市デザインにおいて重要な課題である。本研究では積雪寒冷の都市を対象に、積雪シミュレーション実験を行い、冬季に吹雪の影響を受けにくい交通結節点(駅やバスターミナル)のデザインを研究し、交通結節点における都市デザイン手法を確立した。わが国では、積雪時の都市デザインシミュレーションを行った研究は、筆者以外には無い。 本研究では、稚内駅および中心市街地を対象に、積雪インパクトの評価を大型風洞実験装置による積雪シミュレーションを用いて行った。実験装置は、旭川市にある北海道立北方建築総合研究所が所有するものを利用した。積雪シミュレーションにより、稚内駅舎のデザインや建物配置、乗客動線システムを具体的に計画し、実際に設計に反映できる結果を得られた。 積雪シミュレーションにより、稚内駅舎計画に反映した内容は以下の3点である。(1)稚内駅舎は歩行者動線に吹きだまりをつくらないよう、曲面型のファサードとした。(2)駅前広場に雪の吹きだまりが溜まるため、堆雪スペースを中央に設ける。(3)線路の先端部分に雪の吹きだまりができにくいよう、吹き払いができる駅舎設計にするとともに、除雪がしやすいようにする。 さらに、積雪シミュレーション結果を実際の設計プロセスに反映させるための、デザインガイドラインを開発した。
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