研究課題/領域番号 |
17656193
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
竹田 直樹 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 助教授 (20316037)
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研究分担者 |
八木 健太郎 西日本工業大学, 工学部, 講師 (30352222)
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キーワード | パブリックアート / 都市デザイン / 彫刻設置事業 / ランドスケープデザイン / 景観 / アートプロジェクト |
研究概要 |
研究代表者である竹田は、これまでの彫刻設置事業を中心とする旧来型のパブリックアートを検証した。今年度は特に岡山市、東京都特別区、仙台市、那覇市における調査を実施した。 竹田によるわが国における状況の検証と平行して、研究分担者である八木は、海外において1980年代から行われてきたパブリックアートの見直し研究の調査を進めた。海外における議論の転換点となった文献を調査し、わが国の状況との差違を検証した。 これら個別の検証をもとにディスカッションを通して、これまでに起こった、そして現在起こりつつある都市におけるアートの存在形態の変容過程について評価した。その結果、日本において、パブリックアートと称された都市の公共空間におけるアートは、ふるさと創生事業などにより主として彫刻作品を設置する形で全国に広まっていったが、その後市街地再開発事業などに付加される形で集中的にアート作品設置される形態が一つのバリエーションとして生まれたのち、バブル崩壊とともに突如終焉を迎えたとの共通認識を得た。 同時期のヨーロッパやアメリカにおいては、公共的なコンテクストにおけるアートとしてのパブリックアートについて、問題点や課題の検証が進められるとともに新たな取り組みが行われていたが、日本においてはそうしたプロセスに到達することなく、その役割が終わってしまったといってよい状況であることが明らかになってきた。 一方、パブリックアートという言葉にとらわれずに都市におけるアートを考えると、現在は彫刻や絵画といった実体あるアート作品を公共的に設置する事業形態から、一定の期間を設定して実施されるプロジェクトベースのアートが都市において重要な役割を果たすようになっており、またそこに美術家や自治体の関心もあるのではないかという仮説を得た。 次年度は、この成果と仮説に基づいて、現在起こりつつある変化をさらに明らかにしていく。
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