研究課題/領域番号 |
17656208
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
後藤 孝 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (60125549)
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研究分担者 |
増本 博 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50209459)
木村 禎一 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10333882)
塗 溶 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80396506)
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キーワード | 亜酸化ケイ素 / 選択放射膜 / 傾斜機能 / 放射冷却 / スパッタリング / オキシカーバイド / フーリエ変換赤外赤外分光法 / バンドギャップ |
研究概要 |
本年度は、まず、亜酸化ケイ素(SiO)ターゲットを用いたRFスパッタリング法で作製したSiO_x膜の傾斜機能(FGM)化による選択放射特性の最適化を行った。さらに、SiOおよびSiCターゲットを用いてSi-O-Cナノコンポジット膜を作製し、得られた膜の成膜条件と、成膜速度、組成、構造および光学特性の評価を行い、研究を総括した。 [SiO_x膜のFGM化による選択放射特性の最適化]雰囲気ガス中の酸素量を連続的に変化させることにより、組成の異なるSiO_x膜を作製した。xが0.98から1.70に変化するにつれて、赤外吸収のピーク位置は9.8から9,5μmに変化した。組成xを連続的に変化(FGM化)させたSiO_x積層膜を作製することにより、幅広い吸収スペクトルを有する選択放射膜が得られた。単層のSiO<0.98>膜では10μm付近に1つの鋭いピークがあるだけであるが、FGMSiO_x膜では「大気の窓」の範囲に対応する8-13μmの広帯域の吸収ピークが見られた。FGM化により高性能の選択放射膜が得られることを明らかにした。 [Si-O-Cナノコンポジット膜の作製とPL発光]SiO/SiC比が1.5〜5.0の膜を作製した。SiO/SiC比の増加にともない屈折率は2.09〜1.73、バンドギャップは2.30〜1.91eV、誘電率は5.6〜3.5の範囲で変化した。得られた薄膜中の炭素の大半はシリコンと結合していることがわかった。得られた900〜1100℃の範囲で熱処理することによりSi_5C_3ナノ結晶が分散したナノコンポジット膜が得られた。1100℃以上で熱処理を施した試料からは、蛍光分光測定により微弱な発光が確認された。 本申請の研究により、SiO,膜のFGM化による選択放射膜の高性能化達成した。さらにSi-O-Cナノコンポジット膜がPL発光特性を有することを明らかにした。
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