研究概要 |
アクリル製の予備実験用のトーチを自作し、不活性ガス(Ar,He,N_2)及び、不活性ガスに10%H_2を混合した還元ガスを流しながら、金属針と中央に小孔を持つアルミ板電極間で放電をさせ、小孔から吹き出す放電炎を観察した。孔径およびガス流速、電極間距離等を変えて放電炎が長く吹き出す条件を調べた。その結果、アルミ板電極の孔径を0.3mm以下にし、ガス流量を10L/min、電極問距離を1mmにすると、小孔から1cm弱の細く絞られた放電炎が吹き出すことがわかった。ガス流量が10L/min以上になると、放電炎が発生しなかった。またガスが小孔の付近で渦を巻くように流すことが重要であることが判った。これに基づき、石英製の放電炎の内部が観察できるトーチを作製している。 上記のトーチ製作と並行して、還元の基礎として還元ガス雰囲気下で、2本の金属針をアルミナ基板に押しつけながら、金属針間で放電を起こさせた。放電後の基板をSEM観察したが、金属針を押しつけた部分で、結晶粒の変化が見られただけで、還元が起こった形跡はなかった。これは放電で発生する熱量に比べて、基板の熱容量があまりにも大きすぎるためと推定される。 試作するマイクロ放電のトーチでも同様の問題が生じると思われる。解決策として基板を予熱することも考えられる。しかしここでは、細く絞った放電炎で基板に微細な還元パターンを作るのではなく、ガス中に酸化物の微粒子を混入し、微粒子が放電炎中を通過する間に還元することを考えている。このために、ガス中に微粒子を入れること、およびトーチの下部を減圧した密閉容器に繋いで、排出される微粒子を捕集するように装置を改造している。
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