研究課題/領域番号 |
17656239
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
吉越 章隆 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (00283490)
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研究分担者 |
寺岡 有殿 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (10343922)
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キーワード | 固体表面 / 放射光 / リアルタイム光電子分光 / 超音速分子線 / 並進運動エネルギー / "その場"観察 / 表面反応ダイナミクス&キネティクス / 極薄膜形成 |
研究概要 |
本研究の目的は、超音速気体分子ビームを固体表面に照射し、熱反応等では不可能な化学反応を誘起して機能性極薄膜を形成する方法を開発すること、さらにその反応機構を解明することにある。平成18年度は、これまで培った高輝度放射光を用いた光電子分光測定技術をもとにさまざまな気体一固体反応系に応用することを試みた。その中でO_2ビームを用いたSi(111)-7x7表面の室温酸化反応を、高輝度・高分解能放射光を用いたリアルタイム光電子分光で調べた。シリコン表面酸化の研究は、超高集積電子デバイスの極薄酸化膜形成プロセスの基礎として応用上重要である。また、7x7という特異な表面超構造に由来した反応選択性などが表れることが期待できる基礎化学の観点から極めて興味深い反応系である。O_2の並進運動エネルギーを選択することで吸着反応経路を選んで原子レベルの反応制御が実現できると期待される。平成17年度において超音速分子線照射中の吸着酸素量を放射光リアルタイム光電子分光測定することにより、初期吸着確率および飽和吸着酸素量の並進運動エネルギー依存性を求め、そこから0.06eV、0.4eVおよび2.0eV付近にエネルギー閾値を見出し、0.06eVより低い領域は前駆的吸着状態を経由した吸着過程であり、それ以上の領域では直接吸着過程が支配的になること等を明らかにした。Si(111)-7x7へのO_2室解離吸着過程においては、様々な表面分析法を用いて古くから準安定分子状吸着酸素が観測されることが報告されていたが、解離吸着過程における役割は不明であった。並進運動エネルギー依存性から前駆的吸着状態を経由した吸着過程が支配的と考えられるガス暴露条件(0.03eV)において放射光による01sとSi2pリアルタイム光電子分光観察を行った結果、この吸着状態が清浄Si(111)-7x7のSi adatom上の分子状吸着種ではなく、adatomのバックボンドに酸素原子があらかじめ解離吸着したものの(ins-ad)上の分子状化学吸着状態であることを明らかにできた。
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