研究概要 |
申請者は、微細気泡よりなる超音波キャビテーション場では、絶縁性の有機溶媒中でも安定に低電力で放電プラズマが生起することを研究代表者は見出した。既にこのプロセスにより、有機分子の熱分解によるアモルファスカーボンナノ粒子の作製ならびにカーボンナノカプセルを作製する技術を開発している。本研究では、この安価で簡便なプロセスを用いて、形状ならびに粒径が揃った磁性金属内包カーボンナノカプセルを作製する。内包金属は鉄ならびにコバルトである。形態・構造評価、磁性体評価を行うことにより、耐酸化・耐食性に優れた、磁性材料ならび環境・エネルギー触媒の開発を目指す。 本年度は、前年度に引き続き純鉄またはコバルト製の電極およびホーンチップを用いて純金属およびカーバイド内包カーボンナノカプセルを作製し、詳細なキャラクタリゼーションを行った。生成微粒子は、遠心分離回収後、酸処理により粗大不純物金属の除去を行い、キャラクタリゼーション用試料とした。さらに、不活性雰囲気下における熱処理(400,600,900℃)により、内包カーバイド粒子の金属粒子への変換を行った。例えば、鉄電極を用いた場合は炭化鉄内包、コバルト電極の場合は炭化コバルト内包のカーボンナノカプセルが生成するが、上記の熱処理により金属へ分解する。また、簡単な沈降分離によりφ20nmほどのカーボンナノカプセルを分粒することができた。さらに、過酸化水素による酸化法により、混入アモルファスカーボンの除去、ならびに沈降分離・磁力選別によるカーボンンナノカプセルの分粒を行った。
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