研究概要 |
安価で高温・プラズマ耐性が強い、新型アルミネート系青色蛍光体の創製が熱望されている。Sr_7A_<12>O_<25>:Euは本来緑色蛍光体なのに、1400℃高温還元法で相変態を伴い新型青色蛍光体になることをわれわれの研究グループが平成16年に新発見した。本研究では、その周辺の組成についても青色蛍光体になりうるか、調査をおこなった。 平成17年度に引き続きアルカリ土類アルミネート系酸化物の組成を決定し、レシピ化した。Sr位置にMg,Ba,Caを0.05刻みで置換固溶させることにより、60の組成レシピを作成した。レシピに従い金属EDTA錯体混合粉を準備し、それらを水に溶解してその水溶液をスプレードライヤーを利用して最終的にEDTA混合粉末を合成した。さらにEDTA混合粉末を800℃で仮焼してレシピ設計組成からなる酸化物粉末を得た。 アルカリ土類アルミネート系酸化物粉末をMgO基板とAl_2O_3基板の上にそれぞれ塗布して管状炉中で4%H_2-Ar還元雰囲気超高温下で還元焼成した。温度は1200℃〜1400℃の間で設定した。得られた試料について、すべてX線回折を示したことから結晶化していることがわかった。Sr_7A_<12>O_<25>:EuのSr位置にMgを入れるか、あるいはMgO基板を利用してアルカリ土類アルミネート系酸化物粉末を還元焼成した場合に460nmに中心をもつ、比較的強度の強い青色蛍光体を得ることに成功した。この蛍光体は現行の青色蛍光体であるBaMgAl_<10>O_<17>:Eu^<2+>蛍光体と同様の色で発光することから、利用の可能性の高い新しい青色蛍光体の合成に成功したといえる。
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