研究概要 |
これまでハイブリダイゼーション原理に基づくDNAセンサ三の報告は数多いが,生理的条件で二本鎖DNAを認識,検出することはできなかった。本研究においては二本鎖DNAの特異的認識ユニットとしてZinc fingerタンパク質を用い,二個のZinc finger同士が細胞内の特異的配列の存在下二量体を形成することを蛍光強度などで検出することで特異的配列を持つ菌体を選択する新規な手法の開発を目指している。これまで検出法としてZinc fingerのC末側にeYFPを二個に分割したYNとYC同士が空間的に近接するとfoldingおよび蛍光団形成が誘起されてeYFPの蛍光が生じることを予備実験で確認していた。しかし培養条件がcriticalで実験の再現性に問題があったことから本年度はまずこれまで用いていたT7プロモーターを用いた発現系をやめ,より厳密に発現制御が可能なアラビノースプロモーターを利用した発現系とし,さらに誘導2-4時間後にグルコースを加え発現を抑制し発現されるセンサータンパク質レベルを一定値に保ち,かつその後約1日以上培養を続けることで再現性よく8bpの特異的配列の14回繰り返しをもつpUC19プラスミドを持つ菌体が蛍光を発することが確認された。そこでこの菌体と,pUC19を持つ菌体,さらに繰り返し配列を持つがコピー数が5コピー程度と少ないR1プラスミドを持つ菌体との誘導後の蛍光強度を比較したところ,特異的配列を持つ菌体,特にR1プラスミドを持つ菌体がpUC19を持つ菌の数倍以上の蛍光を発することが蛍光分光光度計およびフローサイトメトリーを用いた解析により明らかとなった(20^<th> IUBMB International Congressにて発表予定)。 本年度はこのほか高活性な円順列変異体アルカリフォスファターゼの創製と,ホタルルシフェラーゼのN末ドメインを用いた新規な反応中間体の高感度検出法の開発にも成功した。
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