研究課題/領域番号 |
17656271
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
後藤 雅宏 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (10211921)
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研究分担者 |
神谷 典穂 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (50302766)
丸山 達生 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (30346811)
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キーワード | 脂質分子集合体 / DNA / ハイブリダイゼーション / 融合 / マイクロスフィア / 酵素反応 / 刺激応答性 |
研究概要 |
ナノ分子集合体(200nm)である脂質ベシクルをナノスケールリアクターと見立て、脂質ベシクルと脂質ベシクルの人為的融合により反応を制御するナノ反応場(ナノリアクター)の構築を目的とした。本年度は、まず20merの合成DNA鎖末端のアミノ基にオレイル基を共有結合的に結合させた「DNA界面活性剤」を合成し、リン脂質で構成されるベシクル表面にこれを導入した。このDNA-taggedベシクルを、相補鎖DNAを有する脂質ベシクルと混合したところ、DNAハイブリダイゼーションによる脂質ベシクルの会合(数十μm)が倒立顕微鏡観察および透過型電子顕微鏡観察により確認された。この会合体は一日静置すると10μm程度のジャイアントベシクルに成長した。そこで会合させるベシクルにあらかじめ酵素と蛍光性基質を別々に内包させておき、ベシクル融合が起こると、内包物が混合され、酵素反応により蛍光発光が生じる系を設計した。蛍光顕微鏡観察の結果、上述のジャイアントベシクル部分に強い蛍光が観察され、脂質ベシクルが融合した結果、ジャイアントベシクル内で酵素反応が進行していることが明らかになった。本実験系のコントロール実験として、酵素が存在しない系、基質が存在しない系、DNA界面活性剤が存在しない系で検討を行ったが、いずれも蛍光を発するジャイアントベシクルが観察されなかった。つまり脂質ベシクル表面に導入したDNA界面活性剤のハイブリダイゼーションにより、脂質ベシクルが会合・融合し、ナノ・マイクロスケールの反応場の構築に成功した。
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