研究概要 |
17年度は,遠心力と分布荷重を受ける回転円形膜の平衡状態の基礎方程式の解析法を提案した.その解析法を用い,18年度は,回転円形膜の平衡状態の安定性を解明するため,平衡状態周りの振動モードについて検討した. まず,膜の曲げ剛性の無視し,von Karman理論による平衡状態の応力分布における面外振動の方程式を提示し,その周りの振動モード形状を仮定して,モード振動数とモード形状を数値的に求める解析法を考案した.その手法を用い,重力下の小型回転円形膜面の振動モードを解析した.検証のため,膜面をバネ・質点系で模擬した多粒子系モデルにより,遠心力と重力を受ける円形膜の平衡状態に対する固有値解析を行った結果,理論解析と多粒子系モデルの振動モードがほぼ整合することを確認した.さらに,重力下,真空槽内で小型回転円形膜の実験を行い,発生した面外振動の膜面形状を観察し,外周付近の面外変位をレーザー変位計により計測して周波数分析を行った.その結果,発生した振動モードが解析的に予測された振動モードに対応することを確認した.また,平衡方程式と振動方程式の無次元化を行い,回転数や膜の内外径比,張力,モード振動数の関係を示した. 次に,考案した解析法を用い,太陽輻射圧を受ける遠心力展開型ソーラーセイル膜面の振動モード解析を行い,低次モード振動数は回転数と同じオーダーとなり,振動数が回転数とほぼ一致するモードが存在することを明らかにした.さらに,多粒子系モデルを用いて,太陽光が斜めに入射する場合に対する応答の数値シミュレーションを行い,モード解析結果で指摘した振動モードが励起されることを明らかにした.
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