研究課題/領域番号 |
17656280
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浦 環 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60111564)
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研究分担者 |
近藤 逸人 東京海洋大学, 海事システム工学科, 助教授 (40361802)
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キーワード | マニュピュレータ / AUV / ステレオビジョンシステム / 水中生物 / クラゲ / 3次元画像 / キャリブレーション / ROV |
研究概要 |
現在、自律型海中ロボット(AUV)が水中を移動しながら同時に外界に対しておこなえる行動は限られており、海底や海中の対象物に対するマニピュレーション作業は専らROVの役目である。しかし、ROVは索により行動が制限され、また海底火山などの危険地帯でのマニュピュレーション作業はできない。対してAUVには行動の自由を制限する索がなく、海底火山活動域などの危険な海域でも展開できる。AUVにより自動的にマニュピュレーションをおこない、海中の自然物などをサンプリングできれば、海中世界の科学的解明が進むとともにAUV利用の裾野が拡がる。マニュピュレーション技術の確立はAUV技術にとって最重要課題のひとつであり、将来はマニュピュレーションがAUVの重要なミッションになる。このため、本研究では、AUVによるマニュピュレーション技術の確立を目指している。水中を自律的に動き回るAUVに求められるマニュピュレータは、陸上ロボットやROVのように「剛直」なものではなく「柔軟」なものである。数百kg程度の小型AUVに搭載可能な、流体力に対してたわみを許す「柔軟」で小型のマニピュレータのハードウェアおよびロボット運動を含めた制御アルゴリズムを研究開発し、製作したマニュピュレータをテストベッドロボット「ツインバーガー2」や「Tam-Egg2」に搭載し、試験をおこない、ロボット運動を含めた制御アルゴリズム等の技術的課題を克服するとともにターゲット認識のための手法を確立することで、AUV技術の一層の高度化を図る。 マニュピュレーションの対象としては、水中を動いているクラゲなどの自然物(生物)を想定。水中を動いているAUVが水中生物を捕らえることをミッションとして、柔軟なマニピュレータの構造の設計および製作および試験を進めている。今年度は、電車のパンタグラフのような構造を持ち、30cmから1m程度まで高速で伸び縮みし、曲げ変形可能な柔軟なアームを設計・製作した。対象物を背景からステレオビジョンで認識し、その位置と大きさを自動計測する。画像フィードバックによりマニュピュレータの運動とロボットの運動とを制御し、マニピュレータは2自由度であるが、全体として6自由度のマニピュレータ端部の運動制御をおこなう。また、クラゲは輪郭がはっきりとせず形状を時々刻々と変化させながら動いているため、極めて精緻な対象認識方法が必要とされる。このためステレオビジョンシステムにより遊泳しているあるクラゲの3次元画像を取得し、カメラからの相対位置を計測することで、特定のクラゲのサイズと位置特定が可能となり、AUVにより捕獲できる。このような画像フィードバックアルゴリズムを開発し、検証試験を江ノ島水族館の協力によりおこなった。現在は、精度向上のためのキャリブレーションを終え、ロボットシステムへの移植の準備をおこなっている。
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