研究課題
前年度の研究実績において製作した水中電気探査装置による実験データを基にして、センサから得られたデータを解釈してより高い精度でセンサ周囲に存在する物体の形状と電気的特性を推定するための解析手法の基礎となる順解析法およびその処理を具体化した計算機プログラムを作成した。従来、差分法を用いた集中定数系のモデルを作成して順解析を試みたが、解析精度や計算時間に問題があり、実験データを説明するには至らなかった。そこで3次元有限要素法による電気回路モデルを作成し、これを変分法を利用して離散化等価回路へ変換する方法によって順解析を試みた。有限要素法モデルから自動的に電気回路モデルへ変換して順解析を実行するような計算機プログラムを開発し、比抵抗が完全に均一な場合における理論的に計算される電流・電圧のパターンと計算機プログラムによる計算結果とを比較し、まずは離散分割を細かくしていくと計算精度が向上するという有限要素法の一般的な特徴を確認した。次に、前年度の水中電気探査装置によって水中に沈んだ塩化ビニルパイプを計測した実験データと、パイプ状の高比抵抗物体を水に沈めた状態をモデル化した有限要素モデルによる計算結果を比較し、両者に見られる計測データのパターンや数値がよく一致することを検証した。また、逆解析に必要とされる生物的適応アルゴリズムについては、高次元の状態入力と行動出力を扱うことが可能な強化学習アルゴリズムを実現するため、高次元の状態-行動価値関数の近似のためにランダムタイリングによる特徴量生成方法を用い、高次元の行動空間において少ない計算量で上記状態-行動価値関数に依存した確率で行動を選択するための方法としてGibbs-samplingを利用する行動選択法を組み合わせた方法を提案し、いくつかの強化学習のベンチマーク問題において有用性を示した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
計測自動制御学会論文集 Vol. 42, No. 12
ページ: 1336-1343
日本船舶海洋工学会講演会論文集 第2W号
ページ: 25-26